史跡瓢箪山古墳
昭和四十六年五月二十七日指定
瓢箪山古墳は、前方部を南に向ける前方後円墳で、墳丘の全長九十六メートル、後円部径六十メートル、同高さ十メートル、前方部幅四五メートル、同高さ七メートルである。
前方部の西南隅で大正年間に土砂採取が行われ、一部原形をそこなっていた。墳丘の周囲には前方部の西南をのぞいて周濠がめぐらされている。周濠が全周しないのは本古墳の西南に隣接する丸塚古墳をさけたためと考えられ、丸塚古墳が本古墳に先立って築造されていたことを想定させる。その他の外部施設としては、墳丘の一部と周濠に 葺石が、また墳丘で円筒埴輪の遺存が確認されたが、量は少ない。後円部の埋葬施設や副葬遺物については明らかでないが、大正年間の採土の際前方部から粘土が発見され、碧玉製琴柱形石製品三点が出土したと伝えられている。
古墳の築造年代については、墳丘の形態などから古墳時代前末期から中期初頭(四世紀末〜五世紀初頭)と推定されている。本古墳を含む佐紀盾列古墳群は、わが国でも有数の大古墳群であり、天皇、皇后陵の伝承をもつ古墳が数多くみられるところなどからも、日本古代史研究上きわめて貴重な古墳群とされている。
瓢箪山古墳は、この古墳群を構成する前方後円墳の一基として学術的に貴重な古墳であるところから、昭和四十六年史跡に指定され、昭和四十八、四十九年度に奈良県教育委員会が環境整備を実施し、前方部の復元や周濠の一部復元的地上表示を行った。
平成三年三月 奈良県教育委員会 |